ローカルフード宣言

2023年7月22日(土)開催

「今、たねとりがアツい」!
タネのスペシャリスト・長野先生の講演と夏の種苗交換会

ウクライナでの戦争で、図らずも、我が国の食の基盤がいかにもろいものであるか明らかになりました。そうであるならば、その解決の方向性はどのような物であるべきか。「食料自給力を高めることこそが大切であり、それに資するような農業力をつけること」誰が考えても分かることが、不思議なことに本流にならないのは何故でしょう。ちょっと立ち止まって考えてみませんか。

私たちの知らない、種にまつわる驚きの話題がいっぱいの長野先生のお話は、時間を忘れるほど引き込まれます。そして改めて、命のもとである種の力の奥深さに気付かされるのです。

巨大企業が命のもとを握る世界?

一方、ウクライナの戦争で明らかになってきているのは、食料にまつわる危機の発現は決して一様に起こるのでは無く、強者と弱者に分かれ、弱者に集中的に降りかかってくると言うことです。国連事務総長の心配する通りです。
種のことに引きつけてみるならば、F1、遺伝子組み換え、ゲノム編集種などにつれ、種の集中と独占が進むことは、地域性に根ざした多様な種が、失われていくことを意味します。つまり独立性を持った食の文化が消えていくことで、命のもとを巨大企業に握られた、広範な弱者へと編み込まれていくことを意味するのです。

消費者も気づき始めたタネの大事さ

「今たねとりがアツい」ということは、「そうはならないぞ」ということに目覚め始めた人たちが、あちこちで出てき始めたからです。とりわけ、「種子法の廃止」の問題を通して、今まで種のことなど気にもしていなかった消費者の中に、「ホントはタネって大事なことなんじゃ?」という思いが芽生え始めたのは画期的なことです。

有機農業者が細々と全国各地でつないできた種苗交換会に新たな息吹が吹き込まれようとしています。大分ではじまったローカルで定期的なタネの交換会は注目に値します。その報告を聞きながら、自慢の種を持ち寄って楽しい交流をしましょう。

文:間 司

種取りはなりわいの一部

種をまいて、育てて、収穫する、その過程で気に入った次の世代になる種や苗を確保して、代々と繋いでいく。自家採種を続けてきた先輩は「子育てと同じで楽しみたい」といいます。こうした営みを通して、作物は気候や土質などに適応し、その土地ならではの伝統種や在来種として、育てられ守られてきました。また、交換や交流などを通して、新しい品種との出会いもあります。
 昭和の時代までは、地場の種苗会社の多様な種が普通に店頭に並んでいました。今ではすっかり様変わりして、大手種苗会社の数種類のF1種に独占されるようになりました。この先自家採種への規制が強化されていくほど、農業の大切な一面が置き去りにされていきそうです。
 私たちはこれまで続けてきた種苗交換会の財産である九州山口の種苗データを、整理しまとめていく作業を始めました。流れに抗するだけでなく、伝統種や在来種の世界を拡げていく方法を模索しています。

熊有研種苗部部長 間司


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